King’s Diary

ある葬儀屋の日記です。創作です。

2245/09/12

妻マリー・キングはかねてより病気療養中の処、薬石効なく
9月10日午後09時18分 45歳で永眠いたしました
ここに生前の御厚誼を深謝いたしますとともに謹んで御通知申し上げます
おって葬儀ならびに告別式は下記のとおり執り行います

マリーが死んだ。覚悟はしていたつもりだったけど全くできていなかった。アネットが大泣きした。俺も泣いた。こういうのを紺屋の白袴というのだとわかったところで何になるのだろう。俺が悲しいのもアネットが悲しんでいるのも、ただ葬儀の準備をして忙しくしたからといって消えるとは全然思えない。こんな時何を書けばいいのだろう。

 

そうだ、俺はアネットの事を考えないといけない。これからは俺一人でマリーのいない中、アネットを育てないといけない。高校への手続きも必要だ。アネットはHEROになるつもりだろうから、その準備もしないといけない。しかしよく考えたらどんなHEROになりたいかまったく聞いていない。とにかく話を聞こう。アネットの好きな焼きプリンを買って。アネットは最近焼きプリンが好きらしい。マリーから聞いた。

 

マリーがもういない。さみしい。さみしい。とてもさみしい。