King’s Diary

ある葬儀屋の日記です。創作です。

2259/02/24

  帰宅すると会社宛に心当たりのない請求書が届いていた。「作曲代」とあるが、曲を依頼した覚えはないし、それをする理由も無い。不思議に思ってアネットに尋ねたところ、アネットが曲作りを依頼したらしい。

 

[hide&seek]

 

雑踏に紛れて不意に 隠すシルエット
理不尽抱えて 舞い降りる手紙
漆黒に溶けた涙 落ちてくハット
格言が突くは お揃いの証

伏線を真実に 不可能を可能に
沈黙に花束を 哀しみを笑顔に
差し出した手のひら 飛んでいけるのなら

[hide & seek]
今宵も傘に傷跡入れて
あなたの秘密を受け止めるよ
[catch & run]
今日の風を味方につけて
あなたの心を探しにいくわ

  良い曲だ。情景描写が綺麗でサスペンス的な要素との相性も良い。そういえばHERO活動も多角化したいとアネットが話していたが、それだろうか、と思っていたら違った。

「エミリアがグズって寝ないことが多いから、子守唄を作ったの」

「……子守唄?」

  この躍動感あふれる曲が?

「歌詞は作れるけど曲は作れないからお願いしてた」

  ちょうどその時、ベットで寝ていたエミリアがグズりだした。アネットはエミリアを胸に抱くと、子守唄とは名ばかりとしか思えない「Hide&Seek」を歌い出した。

 

  次第にエミリアはのグズりは止んで、アネットの胸の中でスヤスヤ寝始めた。

  私には育児がわからない。