King’s Diary

ある葬儀屋の日記です。創作です。

2256/10/04

  アネットが言った。

「お父さん、来週どっか夜空いていない?婚約者を連れて来るから」

  私に何か大事なことを伝えるときは、せめて事前に予告なり何か匂わせやらをしてほしいと散々伝えたのに、どうして君はいつもそう突然に言い出すのかと申立をした。だかアネットに「いやそれぐらいわかるでしょ」とあっさり片付けられた。婚約者のいる女性と婚約者のいない女性の見分けが私にはつかない。納得がいかない。

  仕方がないので空いている日を伝えてレストランを予約することにした。マリーの両親に挨拶をした時、高級レストランで食事をしたのは覚えているが、味がまったくしなかったことを覚えている。これを書いている最中、食事の最後にマリーと結婚したいと伝えたら「最初に話せ、味がしなかった」と義父に言われたことを思い出した。

  来週の食事会は美味しい料理が食べられるだろうか。あまり期待しないでおこう。